春はchill

日が経つに連れて、街が痩せていくように見える。人生、何が起きるかなんて分からんな、と数多の店舗のシャッターが閉じられた光景を尻目に痛感する日々である。

そんな自粛ムードの中、昨日をもって三宮センター街にあるツタヤが閉店した。

どういう訳かこの店は、ポップスや王道なロック盤は勿論の事、ジャーマンプログレやアシッドフォーク、サイケデリックのみならず、ミニマルミュージック、フリージャズ、といったマニアックなラインナップまでもがやけに充実していて、二十歳頃の自分を熱狂させた。

まだサブスクが無かった時代で、金もなかった当時、この店が自分によっては重要な情報収集の場だった。ここが無かったら、いまの自分の感性や音楽に関する知識はおろか、いまこうしてsumahama? もやっていなかっただろう。

時間の流れは時として残酷だ。従来のツールにとって変わる新しいツールが生まれれば、それまでのものは淘汰されてしまう。

冒頭で述べたように、この先起こる事なんて予測出来ない。好きなものがいつ無くなってしまうかも分からない。だからこそ、この瞬間に身近に存在するモノを大切にしようとあらためて思う。

当たり前なものほど軽視してしまいがちだが、当たり前なものほど重要だったりする。

今年は出来なかったけど、来年はまた以前のように、ビールでも舐めながら桜を見て、身近な人達と当たり前のように他愛もない話に花を咲かせられたらいいなぁ、なんて思いつつ今日という日をほどほどに抜きながら精一杯過ごす事とする。

最後に(ツタヤ三宮センター街店で漁っていた時期によく聴いていた)一曲紹介して締めくくりたい。

「Have You Ever Been(To Electric Ladyland)/Jimi Hendrix Experience」

ツクルヤケン